オニテナガエビ種苗の確保
オニテナガエビの養殖研究に向けた種苗確保の検討
オニテナガエビの種苗確保について
・国内産であること(検疫を避けるため)
・東京に郵送可能か?年中稼働しているか?
1.ヒューネクスト
〒400-0067
【本社】山梨県甲府市長松寺町6-7日信ビル2F Tel: 055-288-0956 Fax: 055-288-0957
国内で種苗生産した種苗を販売。「甲州鬼えび」で有名。"人材派遣会社がオニテナガエビの養殖に参入"というニュースでおなじみ。冬季休業で稚エビ販売が休みなのが痛いところ。(2019.12~2020.3まで)2019年には釣り堀完成らしい。行ってみたい。
注文は 1,000匹以下 / 1,000~5,000匹 / 5,000~10,000匹 / 10,000以上 のオプション。2ヶ月前に必要な数の注文をする必要アリ。
山梨でオニテナガエビを養殖 日本財団 海と日本PROJECT in やまなし 2018 #21
2.株式会社 元気アップつちゆ
TEL.024-594-5037
福島県で地熱開発の理解促進の一環としてオニテナガエビ養殖を行なっている会社。土湯温泉のバイナリー発電所の熱水を活用してオニテナガエビの完全養殖を行う。ここはどちらかというと商業用ではなく、観賞用の販売である。
稚エビのサイズによって値段が代わり、値段は以下の通り。
3.相馬えび等養殖組合
〒036-1503
TEL.090-2022-5811
青森県弘前市にある、恐らく国内最初のオニテナガエビ養殖場。釣り堀が隣接しており、観光地として人気。同養殖場代表の山崎隆穂氏は昭和61年からオニテナガエビ養殖に取り組んでいらっしゃるとのこと。卵の孵化に海水、飼育に五所温泉の温泉水と地下水を利用し、低コストでの養殖を実現させている (温泉熱を温度帯に応じて多段階で利用するこの手法は「温泉熱カスケード利用」という)。年間6万匹の養殖を行なっている。隣接する釣り堀では5~9月にかけてオニテナガエビの釣りを楽しめる。種苗販売をしていただけるのかは確認が必要か。
日本初!オニテナガエビが釣れる釣堀 The fishing pond which catches big prawns
4.その他
国内でオニテナガエビ完全養殖を実現させ、かつ、種苗を商業用に販売しているのはやはりヒューネクストさんのみかなという印象。
なお、オニテナガエビの養殖についてはこちらのブログに詳しい。こちらは鹿児島県指宿でオニテナガエビを地域おこしに!というプロジェクトをされている方のブログ。
町おこしとオニテナガエビっていろんなところで試みがなされてるなあ。
どーんと鹿児島「新さつま料理“三つ星”シェフのレストラン」【2019/8/7】
種子島でオニテナガエビの養殖産業をぶち上げようというプロジェクトもあるようです。ロケットロブスターってやつかな?大手食品会社や築地に出荷が決まったとはすごい..
こちらの動画に情報あり⬇︎
オニテナガエビ養殖開始(商品名・種子島ロケットロブスター)種子島南種子町島間R1 10 28
宮城県釜房ではオニテナガエビ釣りができる釣り堀があるらしい。
以下公式サイトと動画
東京でもオニテナガエビ釣りができるそうです。
【吉祥寺】釣った魚をその場で食べられる⁉釣り堀カフェ『Catch&Eat』が爆楽しかった!
東京にもあるってすごいなあ。これから研究する身としては、仕入先が何より気になるところ(笑)
東京に引っ越したらぜひ行ってみたいところですね
おまけ
原産国タイでのオニテナガエビ釣りの様子
本場の大迫力爆釣動画をご覧あれ⬇︎
多くはないけど、いくつかの養殖場が国内にあることがわかってきた。
研究が開始する4月までにぜひ視察にお邪魔させていただいて、お話とか聞けたら嬉しいなあ..
メモ
オニテナガエビ基本情報
今日はオニテナガエビの基本生態について調べたのでまとめておく。今後は論文を漁って飼育条件や餌、難易度、課題点なども調べてまとめていき、研究テーマの参考とする予定。
オニテナガエビ
Giant river prawn
Macrobrachium rogenbergii(Deman)
生息地:インド〜東南アジア〜オーストラリア
別名:
- Malaysian prawn / Freshwater scampi (インド)
- Cherabin (オーストラリア)
- Golda Chingri (バングラデシュ)
- Udang galah (インドネシア、マレーシア)
- Uwang / Ulang (フィリピン)
- Koong mae nam / Koong ghram gram (タイ)
生態について:
体長30cmになる世界最大の淡水エビの一種。世界中で養殖されている。プランクトン期には汽水を必要とする。その後は完全淡水で生育可能。メスは年5回抱卵可能で、卵は3週間未満で孵化する。卵の数は10000~50000ほど。幼生は32~35日で7.1mm~9.9mmの幼体となり、淡水に戻る。(Forrest , 2000, "Grow-out culture of freshwater prawns in Kentucky")
オスの第二鉗脚は社会的地位により、色が変わる。オスは3タイプのモルフォタイプが存在し、Small Male(SM) / Orange Claws(OC) / Blue Claw(BC) の3つである。
SM(Small male)は成長段階の最初の段階で、透明の短い鉗脚をもつ。メスにしばしば間違えられるが、繁殖可能であり、BCによって保護されたメスに忍び寄り、交尾する。(昔大学の講義で、魚類のマスのオスには2タイプがあり、強いオスと弱く小さいオスが存在する。強いオスは交尾相手を力によって得るが、弱い小さなオスは隙をみてオスに守られたメスに近づき、受精を行うというのがあった。弱いオスなりの生き残り戦略はエビにも存在するらしい。)
OC(Orange Claws)はSMの次の成長段階で、体長の0.8~1.4倍の第二鉗脚を有し、ハサミ部分はオレンジ色となる。メスに対して攻撃的であり、あまり交尾をしない。自慢のハサミをハデハデな色にしてメスに攻撃的、その割に交尾できないところはまさにエビの厨二病時代といったところか。
BC(Blue Claw)は最終形態で、青いハサミを持ち、第二鉗脚は体長の2倍ほどになる。他のオスに対し、攻撃的で縄張りをもち、交尾の前にメスを囲う習性がある。また、メスが脱皮したとき、メスを捕食者から保護することが知られる。漢の中の漢。(A.Barki; I.Karplus & M.Goren, 1991, "Morphotype related dominance hierarhies in males of Macrobrachium rosenbergii")。
モルフォタイプについては支配と階層の関係性がある。
BCはOC、SMを支配し、OCはSMを支配するという構造になっている。BCは最も受精率が高く、最も社会的ステータスの高いオスタイプである(オス1匹に対し、メス5匹をキープ可能。力と名声があるやつがモテるのはエビも一緒らしい。チキショー)
一方、OCは生殖の代わりに体の成長にエネルギーを集中させる、いわゆる中間体のオスタイプ。BCが存在するとSM→OC / OC→BCの移行が阻害されるらしい。この阻害を回避するためにSMは他のオスタイプから隔離した方が良いとされる。
なお、OC→BCの移行はOCがBCより大きくなった時に発生する。養殖下で観察される割合は 5 SM:4 OC:1 BC である。
⬇︎生態、モルフォタイプについては下記URLに詳しいacquamarao.com.br
繁殖について:
オニテナガエビは高い生殖能力をもつ。メスは体長10cmで成熟し、成体のメスは80,000~100,000個の卵を抱卵する。オスがメスのインキュベーションチャンバーに精子を送り込み、受精する。その後、腹腔内に卵をとどめ、腹足によって保護、通気される。卵はオレンジ色で、孵化2~3日前になると濃い灰色になる。ゾエア幼生は汽水を必要とし、塩分、pH、給餌に細心の注意を払う必要がある。11の成長段階をへて、幼体となり、上流へ遡上を開始する。25~35日で7~10mmに成長する。